June 23, 2011

木村 なるほど。いまだに虚像を維持しようと思っているミュージシャンは、(ネットに関わると)命を縮めるだろうと思うけど。それはテレビ全盛時代の、テレビというメディア自体も同じだと思うのね。ある時からテレビが夢の箱のような構造を自ら壊し始めたじゃない。自分のそれを含めて舞台裏ネタを垂れ流すし、アーティストもバラエティにまで出るし、それで虚像が機能しなくなった。だったら等身大の音楽でいいじゃん、開けてみればどうせ同じだし、みたいな流れもあるんじゃないかな。

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木村 もう国内に存在する音楽を、ひとつの土俵でくくるのは無理なんですよ。それは瓦解したわけです。土俵がいっぱいできているわけ。だから自分たちが収まるべき土俵を見定めて、そこで勝負する限りは大丈夫だと思う。

―― リスナーとのストレートな関係を作れるということですか?

木村 そうだね。ここ何年か音楽業界に関わる方々は「CDが売れない」「これから音楽業界はどうなっていくんでしょう」と、まあ、みんな暗い面持ちでいるんですけど。でも、僕は逆にワクワクしているんです。

甲田 そうなんだ。初めて聞いたけど。

―― ……木村さん、続けてください。

木村 テレビを中心とした大量宣伝で、買わなくてもいい音楽を、買わなくていい人たちに買わせていた時代はもう終わったわけですよ。ムダに買っていた人が買わなくなっただけで、純粋に音楽が好きな人たちの絶対数は変わっていないと思う。真面目にやっている音楽家にとっては、むしろ歓迎すべき状況じゃないかな。ムダなコストをコンパクトにできるし、動きやすいし、ダイレクトに結果が届くし、むしろ健康的なのではないかと思う次第です。